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核兵器 法的禁止訴え パグウォッシュ会議 長崎宣言発表し閉幕

 長崎市で1日から開かれていた科学者の国際組織「パグウォッシュ会議」の第61回世界大会は5日、被爆70年の節目に、核兵器の法的禁止を訴える「長崎宣言」を発表し、閉幕した。「長崎を最後の被爆地に」と呼び掛け、核兵器保有国に廃絶の確約を要請。日本などを念頭に「核の傘」の下にある国にも安全保障政策の変革を求めた。

 伊王島のホテルであった全体討議で「核兵器の非人道的影響」など8作業部会が議論の結果を報告。サイデ・ロトフィアン評議会議長(イラン)が宣言を読み上げ、参加者が拍手で賛同した。

 宣言は、被爆者の苦しみに触れて世界の指導者に「被爆者の叫び」を受け止めるよう促した。核拡散防止条約(NPT)再検討会議など従来の協議の枠組みを「限界」とも指摘し、市民や国際組織と連携した「法的禁止を目指す全世界的なイニシアチブ」の重要性を強調した。

 核の傘に頼る非保有国に対して非核兵器地帯への参加や創設を例示。日本などの核燃料サイクルで備蓄が増えているプルトニウムを念頭に、兵器転用のリスクをなくすための核物質の「安全な処分」も求めた。

 会議のジャヤンタ・ダナパラ会長(スリランカ)は閉幕後の記者会見で「会議として核兵器の法的禁止を目指す。被爆者の声を基にした『宣言』を参加者が各国に持ち帰り、市民と連携して国際世論を高めるのが重要だ」と述べた。

 長崎市では初めて開かれた大会は約40カ国から約190人が参加し、核軍縮の道筋などを議論した。日本開催も宣言発表も、2005年の広島市以来10年ぶりとなった。(水川恭輔)

(2015年11月6日朝刊掲載)

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