×

ニュース

締結目標の「15年」削除 核禁止条約 平和首長会議が方針

 平和首長会議が2020年までの核兵器廃絶を目指す行動指針「2020ビジョン」で、核兵器禁止条約締結の目標年に掲げた「2015年」を削除することが5日、分かった。条約を含む廃絶に向けた法規制を求める声は非保有国を中心に高まっているが、保有国が反対し、交渉入りも見通せていない。ただ20年までに全核兵器を解体する目標は堅持し、12、13両日にベルギー・イーペル市で開く4年に1度の理事会で、達成に向けた具体策を話し合う。

 03年10月に打ち出したビジョンは、核兵器廃絶へ、実戦配備の即時解除、核兵器禁止条約締結に向けた具体的な交渉開始、15年の条約締結というプロセスを掲げた。このうち条約締結の目標年だけを削る方針。理事会で、会長の広島市の松井一実市長をはじめ、長崎市、英マンチェスター市など13役員都市の首長たちで協議する。

 理事会では、13年の総会で決めた30項目の行動計画(13~17年)の達成状況も検証。広島市は、被爆の記憶を次世代に伝える活動の強化に向け、青少年の交流事業などの新たな試みを加えるよう提言する構えだ。

 松井市長は理事会に絡め、10日から10日間の日程で渡欧する。オーストリア・ウィーンの国連事務所で、米ニューヨークの国連本部、スイス・ジュネーブの国連欧州本部に続き3カ所目となる常設原爆展の開設式典に出席。英国ではロンドンなど2市を訪ね、国会議員らと平和施策について意見交換する。(田中美千子)

(2015年11月6日朝刊掲載)

年別アーカイブ