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G8議長サミット リーダーの心打つ 被爆地開催 大きな意義

■記者 森田裕美

 被爆地・広島を舞台に2日、開催された主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)は、世界の政治を動かすリーダーが被爆地を訪れる意義を、あらためて確認する場となった。

 原爆を投下した米国をはじめ、核保有国を含む参加国の議長らは会議に先立って原爆資料館を視察し、被爆体験証言に耳を傾けた。ひとたび核兵器が使用されれば人類に何がもたらされるのか-。

 ごくわずかな時間だったとはいえ、原爆被害の一端に触れた議長たちの表情からは、心の震えが少なからず、見て取れた。

 直後のセッションで核軍縮や核兵器廃絶に向けた強い発言があったというのも当然だろう。ペロシ米下院議長はこの日の昼食会で、被爆地での開催を提案した河野洋平衆院議長に対して「感謝しても、しきれない」とまで述べたという。

 市は広島開催が決まった昨年来、被爆の実情に触れてもらうため衆院側と過密なスケジュールの調整をぎりぎりまで続けてきた。当日は平和記念公園を訪れる一行を市民や児童、生徒が早朝から合唱や手旗で迎えた。

 歓迎を超えた地元の熱意は、自国の核政策に向き合う議長たちへの期待そのものだ。議長サミットのこれまでのルールを継承したとはいえ、非公開で全体像が明らかにされないサミットには、必ずしも十分な手ごたえを感じ取れない市民もいるのではないか。

 河野議長は終了後、核兵器のない世界への決意を表明し、世界の指導者へ、被爆地訪問を呼び掛けた。それが実現するなら、現実として核拡散が進む国際情勢の中でこれほど心強いことはない。被爆の実情に触れた各国議長は、自らの責任で核兵器廃絶への意思を行動に示す-。それが市民の歓迎への答えではないだろうか。

(2008年9月3日朝刊掲載)

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