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「平和の鐘」三隅の寺に移設 戦没者遺族ら建立 高尾山から 浜田

 島根県浜田市港町の高尾山(76メートル)山頂の「平和の鐘」が、同市三隅町の龍雲寺に移設された。戦没者遺族らの発案で1952年に造られたが、高齢化で周辺の手入れが行き届かなくなっていた。関係者は、平和のシンボルとして宗教を問わず親しまれるよう、願っている。(森田晃司)

 平和の鐘は仏教の梵鐘(ぼんしょう)形で、戦前に市内にあった陸軍歩兵第21連隊などの戦没者たちを悼み、市街地を望む高尾山に平和を祈る場として52年8月15日、遺族らの寄付で建てられた。

 同市戦没者遺族連合会が2005年の戦後60年に鐘楼堂を修復したが、周囲は雑草や雑木が生い茂り、訪れる人は少なくなった。戦後に植えた桜も多くが枯れた。

 遺族は、多くの人が訪れやすい場所への移設を望み、市内の寺に相談。周辺が公園として整備され観光客の多い龍雲寺に移すことが決まった。ひのき造りの鐘楼堂を新設し今月3日、落慶法要を開いた。

 野原真承住職(46)は「世界の平和を祈り、鐘を鳴らしてほしい」と来訪を呼び掛けている。大みそかには除夜の鐘を鳴らすことにしている。

(2015年11月8日朝刊掲載)

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