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最優秀 藤井さん(広島・国泰寺中) 少年の主張全国大会 被爆者取材の葛藤語る

 中学生が日常生活で感じたことなどを発表する「第37回少年の主張全国大会」が8日、東京・渋谷の国立オリンピック記念青少年総合センターであり、秋篠宮家の次女佳子さまが臨席された。最優秀の内閣総理大臣賞には、中国四国ブロック代表の広島市立国泰寺中2年で中国新聞ジュニアライターの藤井志穂さん(14)が選ばれた。

 地方ブロックの代表12人が壇上でそれぞれの思いを訴え、佳子さまは熱心に耳を傾け拍手を送っていた。

 藤井さんは「語る思いと聞く思い」と題して発表。ジュニアライターの活動の一つとして、被爆者の体験を取材する中での心の葛藤と、被爆者の思いを受け止めて伝える決意を表現した。広島県の参加者が最優秀になるのは初めて。藤井さんは「一緒に発表した他の人から『おめでとう』と言われ、うれしく感じた」と喜んでいた。

 今回は約55万人から応募があった。

この人 「少年の主張」で最優秀の内閣総理大臣賞に選ばれた国泰寺中2年で中国新聞ジュニアライター 藤井志穂さん

全力でヒロシマ伝える

 「(東京に)行って、言ってくるだけでいい、と思っていたので信じられなかった」と喜びを表す。全国各地の代表12人がステージ上に並んだ中で、自分の名前が呼ばれた瞬間はぼうぜんとした。

 広島市に落とされた原爆の爆心地に最も近い本川小(中区)5年生の冬にジュニアライターを知って応募した。新聞や記者に興味があり、文章を書くのも好き。そして、被爆に関するいろんなエピソードを伝えたい、と活動に参加して3年近くになる。あの日の体験を取材した被爆者は7人を数える。

 国泰寺中(同)では放送部に所属。広島県大会への出場が決まったのが8月初め。テーマに悩んでいた時、顧問の先生に「取材した被爆者に、ひきつったように笑われて怖かった」と話すと「あなたしか見ていない、分からない感情を伝えてきなさい」と勧められた。

 被爆体験を聞くのがつらくて取材を避けた時期もあったが、被爆者の「苦しんでも話す」との思いに気付き、全力で受け止め伝えようとの決意を発表した。題は「語る思いと聞く思い」とした。

 今回の受賞は「今まで取材した被爆者をはじめ、放送部の顧問の先生、励ましてくれた母たち、いろんな人の思いが乗っかったもの」と感謝を忘れない。

 終了後、全国大会に臨席されていた秋篠宮家の次女佳子さまに、ジュニアライターをいつからやっていたかを聞かれた時、「高校生まで頑張るつもりです」と答えたところ、「頑張ってください」と優しく言われたという。「これからも平和活動、被爆体験の取材に真正面から取り組みたい」(二井理江)

(2015年11月10日朝刊掲載)

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