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「回天」鎮魂 若い世代へ 周南・大津島 追悼式に370人

 旧日本軍の人間魚雷「回天」の搭乗員たちの追悼式が8日、訓練基地のあった周南市大津島の回天慰霊碑前で開かれた。全国から遺族たち約370人が参列し、特攻で海に命を散らした若者に思いをはせ、平和の尊さをかみしめた。

 回天を題材にした詩吟や合唱などが会場を包む中、参列者は献花台へ白い菊を供え、手を合わせた。県内の自衛隊基地所属の飛行機による追悼飛行もあった。

 追悼式を主催した回天顕彰会の原田茂会長(77)は「終戦70年を迎え、遺族の高齢化が進む一方、追悼式への若い世代の参加が増えてきた。若い力で周南市を平和の発信地にしたい」と呼び掛けた。

 回天は太平洋戦争末期の1944年11月8日に初めて実戦投入された。45年1月、西太平洋のウルシー環礁に出撃して21歳で亡くなった塚本太郎さんの弟悠策さん(80)=千葉県松戸市=は、4年ぶりに参列。「出撃前に兄が目にした大津島からの景色を見ていきたい」と話した。(高田果歩)

(2015年11月10日朝刊掲載)

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