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G8議長サミット 米ナンバー3ペロシ氏広島入り

■記者 森田裕美、久行大輝

 63年を経て、原爆投下国の下院議長が1日、広島入りした。これまでで現職では最高レベルの米国要人の訪問となるナンシー・ペロシ議長(68)。被爆地で何を感じ、2日の主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)でどんな発言をするのか-。被爆者らは注視している。

 広島空港(三原市)に到着した政府専用機。河野洋平衆院議長らとタラップを降り立ったペロシ議長は白い上下のスーツ姿。サングラスを外し、笑顔で出迎えの関係者と握手。バスで広島市に移動し、記念コンサートや歓迎夕食会に参加した。

 ペロシ議長は、民主党を代表するリベラル派の人権問題専門家。ブッシュ政権のイラク政策への批判で知られ、昨年1月、女性初の下院議長に就任した。河野議長が各国に打診したサミットの被爆地開催案は米国の同意取り付けが懸案だった。ペロシ議長は快諾し実現への流れができた。

 米下院議長の地位は重い。憲法の規定で大統領と副大統領の職務執行が不可能なら国家元首の役割を担う。いわば「ナンバー3」の被爆地訪問となる。

 広島県被団協の坪井直理事長(83)は「投下国の議長でも同じ人類として被爆地に来てくれたことを歓迎したい。きれいごとではなく本気で核兵器廃絶の議論を」と注文する。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長(83)も世界で核軍縮への関心が高まっていることを踏まえて、「この状況で被爆地を訪れる議長は廃絶へ一歩を踏み出さないわけにはいかないはず」と言う。

 2日の議長サミットに先立ち、ペロシ議長は各国議長らと、平和記念公園(中区)で原爆被害に触れる。

(2008年9月2日朝刊掲載)

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