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広島二中慰霊碑 名前刻む 動員途中被爆の吉長さん 同級生働き掛け「友の無念忘れない」

 原爆で犠牲となった広島二中(現観音高)1年生321人を刻んできた慰霊碑(広島市中区)に、吉長隼人さんの名前が同窓会によって加えられた。動員先に向かう途中に被爆し、2年後に亡くなっていた。「友達の未来が断たれた無念を忘れない」。働き掛けた同級生が10日、平和記念公園西側の本川河岸にある碑を訪れ、手を合わせた。

 今の東広島市西条町に住んでいた吉長さんは建物疎開の作業に向かう途中、爆心地から約2キロの広島駅前で被爆。体調を崩し、1947年9月に15歳で死去した。同じ場所で被爆した同級生の玉川祐光さん(83)=安芸高田市=らが、ことし7月末に吉長さんのおいと初めて会い、「碑に刻んでほしい」との願いを共有し、8月6日の二中慰霊祭で芸陽観音同窓会に要望。10月下旬に改修された。

 この日は、碑前に同級生8人が集合。「生きとるもんからの、せめてもの供養になれば」。玉川さんは吉長さんの名前を確かめ、目を細めた。中野英治さん(83)=東広島市=も「若者たちに碑前で命の大切さを考えてほしい」と願った。

 碑には、埼玉県内の妹から同窓会に申し出があった沖本精一さんの名前も加えられた。神崎国民学校(現神崎小)を卒業し、二中1年で原爆死したという。碑に刻む1年生は2人増え323人、5年生まで含めると346人となった。被爆2、3年後の死没者も刻まれている。(水川恭輔)

(2015年11月11日朝刊掲載)

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