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原爆資料館に寄贈 元銀行員の被爆体験記 広島

 被爆70年の今年再刊された、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)広島支店に勤務中、原爆の閃光(せんこう)を浴びた熊巳(くまみ)武彦さん(1907~95年)の被爆体験記を、親族の熊野義夫さん(66)=広島市東区=が原爆資料館(中区)に寄贈した。

 タイトルは「ピカッ、ドーン!!九死に一生を得た一銀行員の記録」。最初は私家版として、爆心地から約1・2キロの自宅で被爆しながらも銀行業務の再開に向け奮闘した熊巳さんが、自身の記憶を93年に記した。今年6月に妻の淑子さん(86)=東京都中野区=が自費出版。毛筆書きの原文を印刷したものに加え、英訳、活字版をセットにした。

 熊野さんは熊巳さんのめいの長男で、再刊を手伝った。編集した東京の出版社の大原哲夫さん(68)と資料館を訪れ、志賀賢治館長に体験記を手渡した。熊野さんは「核兵器と戦争の悲惨さを若い人に感じ取ってほしい」と話していた。体験記は、東館地下1階の情報資料室に展示される。(山本祐司)

(2015年11月16日朝刊掲載)

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