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呉服店の内装再現へ 平和公園レストハウス改修 広島市素案

 被爆70年事業として、広島市が進めている平和記念公園(中区)内の被爆建物、レストハウスの改修計画素案が16日、分かった。前身の「大正屋呉服店」をイメージした内装を施し、繁華街だった一帯の歴史資料を展示する。耐震補強をし、2018年度のリニューアルオープンを目指す。

 レストハウスは爆心地の南西約170メートルにあり、鉄筋3階、地下1階建て延べ1011平方メートル。1929年に大正屋呉服店の店舗として建ち、被爆時は広島県燃料配給統制組合の事務所だった。出勤していた職員37人のうち、地下にいた1人以外は亡くなった。

 市が57年に買収し、市東部復興事務所を経て82年にレストハウスに。今は1階に観光案内所や休憩所、売店、2、3階に広島観光コンベンションビューロー事務所などがある。

 素案では、地上1~3階の内装を呉服店時代に近づける。当時の売り場は陳列棚が並ぶ床がセメントタイル張りだった。改装後は立地する旧中島地区の歴史をたどる関係資料を並べ、修学旅行生が食事などをできる休憩スペースも広げる。地下は被爆後、ほぼ手付かずで壁や柱の一部は剝がれ落ちている。被爆時を思い起こせる内装にし、説明板も置く。

 一方、市は初の耐震補強をする。昨年度に壁や柱など53カ所を耐震診断。「震度6強から7程度の大規模地震で倒壊する恐れがある」との結果が出たため。昨年度のレストハウスの利用者は19万2005人で、近年は年間20万人前後で推移している。市は文化庁と協議して本年度末までに改修計画を作る。(川手寿志)

(2015年11月17日朝刊掲載)

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