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戦争が奪う子どもの夢 山口・平川中 作家室積さんの劇上演

 戦争をテーマにした演劇「遠い約束~おじいさんのタイムカプセル~」が、山口市黒川の平川中で上演された。作家室積光さん(60)が脚本と演出を手掛け、主宰する劇団「東京地下鉄劇場」の8人が演じた。故郷の光市へ昨年10月にUターン後、県内初披露で生徒や保護者たち約580人が鑑賞した。

 1933年に尋常小学校の同級生の男子5人が、校庭の桜の木の下に将来の夢を記した作文を埋める場面から始まる。大人になって軍医や特攻隊などで4人が戦死。50年後、生き延びた1人が小学校の開校100周年記念式典に招かれ、友人との思い出や果たせなかった夢を振り返る。生き延びた男性役を室積さんが演じた。

 3年藤村海都君(15)は「友人や家族の絆を断ち切る戦争の怖さが芝居を通じて伝わった。戦争を知る祖母にもっと当時の話を聞いてみたい」と話した。

 この作品の初演は2000年。全国の小中高校で上演してきた。室積さんは「戦争で失われた命と果たせなかった夢を伝え、同級生に囲まれて過ごす平穏な日々がいかに貴重かを、県内の子どもたちに問い掛けたい」と話す。12月5日には防府市田島の華陽中で上演する。(柳岡美緒)

(2015年11月18日朝刊掲載)

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