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原発事故 東電、広島で補償説明 福島からの避難者宅訪問

 東京電力の社員が1日、福島県南相馬市から広島市南区に避難している衣山弘人さん(54)方を訪れ、福島第1原発事故に伴う賠償と請求書類の書き方などを説明した。東電によると、中国地方で直接、避難者に補償の説明をするのは初めて。

 衣山さんの自宅は、同原発から18キロで立ち入り禁止の警戒区域内。3月下旬から家族4人で広島市での避難生活を続けている。

 この日、避難先の市営住宅を訪れた社員2人は、衣山さんと妻良江さん(43)に「ご迷惑を掛けて申し訳ありません」と謝罪。避難生活による精神的苦痛への賠償額、医療費や病院勤務だった良江さんの給与補償額の算出方法などを説明した。

 衣山さんが「残してきた家や土地の補償は」と尋ねたのに対し、社員は「まだ方向性が決まっていない」とだけ答えた。

 東電は現在、震災発生から8月末までの損害賠償請求を受け付けている。だが、「請求手続きが難しい」といった批判を受け、福島県内を中心に説明会を開いている。今回は衣山さんの要請で実施した。中国地方での説明について東電は「他にも要望がある。対応を検討中」としている。(川井直哉)

(2011年12月2日朝刊掲載)

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