×

ニュース

伝統織物を復興 活動の経緯紹介 カンボジア在住 森本さん 広島大で講演

 カンボジアの内戦で途絶えかけた伝統織物を復興させ、根付かせている森本喜久男さん(67)が19日、広島大(東広島市)で講演した。同大文学部の授業の一環で、学生たち約50人が聞いた。

 友禅職人だった森本さんは同国の織物に魅了され、1996年、現地に「クメール伝統織物研究所」を設立した経緯を説明。「伝統を培った風土を取り戻すことなしに再生はできない」と荒れ地を開墾し、素材を自給する森や畑、職人と暮らす村をつくり上げていったと話した。

 ただ「伝統は守るものではなく作るもの」と強調。受け継いだ知恵や技術を生かし、今の時代に必要とされるものを作る意義を訴え、「ものづくりは簡単ではない。真剣に向き合い、生きた伝統にすることが大切だ」と説いた。

 森本さんは同研究所の代表。カンボジアのシェムリアップ州で、雇用している職人約200人やその家族と一緒に生活している。(新本恭子)

(2015年11月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ