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米計画の原爆開発記念公園 広島市長が再考促す 要請文送付

 広島市の松井一実市長は2日、1940年代に原爆を開発した「マンハッタン計画」を記念する国立歴史公園を計画している米政府に対し、原爆被害の実態を踏まえるよう求める要請文をルース駐日大使宛てに送付した。

 要請文は、公園計画に「核兵器廃絶を求める世界の多くの人々の願いに背くものであり、将来の世代に誤ったメッセージを残すことになりかねない」と危惧を示し、再考を促す。

 また、ラスベガス(ネバダ州)にある核実験博物館について「被爆の実相がほとんど展示されていない」と指摘し、展示内容を配慮するよう求める。

 長崎市の田上富久市長も同日、同様の要請文を送った。

 米内務省のホームページによると、公園計画の検討に関する法律が2004年に成立。原爆開発の拠点だったニューメキシコ州ロスアラモスとテネシー州オークリッジ、ワシントン州ハンフォードの3カ所で環境影響調査などを行い、今年7月に計画を米議会に提案した。(金崎由美)

マンハッタン計画
 ルーズベルト大統領の命令により1942~45年に進められた米の原爆開発計画。ロスアラモスを研究の中心に、オークリッジで広島型原爆に使われたウラン、ハンフォードでは長崎型原爆に使われたプルトニウムを製造した。45年7月にニューメキシコ州アラモゴードで核実験に成功し、同年8月6日に広島、9日に長崎に原爆が投下された。

(2011年12月3日朝刊掲載)

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