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家族の通帳68年ぶり返還 江津の山口さんに浜田税関支署

 第2次世界大戦後、満州(現中国東北部)から引き揚げた島根県江津市波積町の山口宏さん(68)の家族が帰国時、税関に預けた貯金通帳などが20日、浜田税関支署(浜田市)で山口さんに68年ぶりに返還された。

 父名義の南満州鉄道の社員貯金通帳と、父母と兄名義の郵政儲金(ちょきん)簿の計4点。貯金通帳は1942年6月から終戦直後まで使われ、313円5銭が残っていた。儲金簿には5円、10円など1回ごとの貯金額が記されている。

 山口さんが生まれて半年後の47年秋、家族4人で江津市に引き揚げた際、海外資産持ち込み制限で預けたという。山口さんがことし8月、市の広報で税関の返還業務を知り同支署に相談。横浜税関で保管されていることが分かった。

 同支署で通帳を受け取った山口さんは「父が家族のために頑張っていたことが分かり感無量。兄と相談して大切に保管したい」と喜んでいた。

 全国の税関が引き揚げ者から預かった通貨や証券は135万件あり、昨年末までに48万件が返還されている。浜田税関支署Tel0855(27)0366。(森田晃司)

(2015年11月21日朝刊掲載)

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