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旧理学部1号館の保存・活用案募る 広島市が来月 16年度に方針決定

 広島市は来月、広島大本部跡地(中区東千田町)に所有する被爆建物の旧理学部1号館について、保存、活用のアイデアを市民から募る。有識者からも提案を求め、2016年度に市の方針を決める。20日、明らかにした。

 「E」字形が特徴の旧理学部1号館は1931年に建ち、鉄筋3階建て延べ約8500平方メートル。市が、国立大学財務・経営センター(千葉市)から敷地約6千平方メートルとともに13年4月に無償で譲り受けた。14年6月、震度6強の地震で建物が倒壊する危険性が高いとの調査結果を公表。建物の全部や一部の保存、外壁など一部を残す象徴保存を検討している。

 市都市機能調整部によると、市と広島大が跡地で掲げる「知の拠点」構想にふさわしい市民アイデアを12月15日から1月15日まで募る。懇談会は、広島大や地元町内会などの15人で16年度に設ける。6回開き、保存・活用策の提案書をまとめてもらうという。

 同部は、東京都の郵便局や神戸市の駅舎など全国15施設の保存事例を調査している。「市民の関心が高い建物だが劣化も進んでいる。早急に保存方法を決めたい」としている。跡地では構想を支える事業として民間の再開発が進み、分譲マンションなど6施設が20年1月までに建つ。

 また市はこの日、平和記念公園(中区)内の被爆建物レストハウスを前身の「大正屋呉服店」の内装に近づける改修計画素案を正式に公表した。繁華街だった一帯の歴史を伝えるため、原爆資料館や当時の住民たちに資料の提供を呼び掛けるという。(和多正憲、川手寿志)

(2015年11月21日朝刊掲載)

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