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核の健康被害を報告 世界フォーラム2日目 研究者ら討論

 核兵器の開発・製造や原発事故などあらゆる過程で生まれるヒバクシャの問題を考える「世界核被害者フォーラム」は22日、広島市中区の広島国際会議場で2日目の会合を開いた。約250人が参加。放射線の人体影響に詳しい医師や研究者、被爆者らが討論した。

 「ヒバクに関する科学」と題するセッションでは、ウクライナ国立放射線医学研究センターのアナトリー・チュマク副所長が、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で深刻となった健康被害について報告。被曝(ひばく)した人の間で、甲状腺や臓器の固形がんだけではなく、ほかの甲状腺疾患や循環器の病気が明らかに多くなったとし、慢性リンパ性白血病も放射線起因性が認められたと話した。

 小出裕章・元京都大原子炉実験所助教が基調講演。空気中に放出された放射性物質のセシウム137の量を広島原爆と比べると、各国が冷戦期に繰り返した核実験が約1万倍、福島第1原発事故も170倍近いと指摘。「軍事と平和、どちらの核利用も被害者を生む。兵器だけでなく、全ての核の廃絶を被爆地は訴えないのか」と訴えた。

 核兵器の法的禁止への課題を探るセッションもあり、会場からは「国際政治の側面だけでなく、もっと核被害の当事者の立場からの廃絶運動が必要だ」などの意見も出た。

 広島と長崎の市民団体などが主導する実行委員会の主催。23日は、核被害者を生まない世界の実現や、被害者の連帯を求める宣言文を採択して閉幕する。(金崎由美)

(2015年11月23日朝刊掲載)

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