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「黒い雨の会」解散 広島の上安・相田 高齢化や病気

 原爆の「黒い雨」被害で、国の援護対象区域の拡大を求めて活動していた広島市安佐南区の住民グループ「上安・相田地区黒い雨の会」が解散したことが22日、分かった。同じ旧安村で、隣の地区が対象に含まれるのに同地区は外れているとして国の「線引き」の理不尽さを指摘してきたが、高齢になり、役員が相次ぎ体調を崩すなどしたのが理由。別のグループが主導して対象区域拡大を目指す集団訴訟を今月起こしたが、参加はしていない。

 同会は2002年12月、上安・相田地区で雨に遭った256人で発足。治療中の病気を独自に調べて厚生労働省に示すなど、区域拡大を働き掛けてきた。ただ会員は191人まで減少。歴代の会長、副会長たちが相次ぎがんを患い、亡くなったり活動できなくなったりしていることもあり、ことし4月の総会で解散を決めたという。

 国は黒い雨の降雨域のうち、大雨地域を被爆者健康手帳の取得につながる区域に指定する一方、小雨地域には援護を講じてこなかった。旧安村で西側の長楽寺・高取地区は大雨地域、東側の上安・相田地区は小雨地域としている。

 胃がんを患い、昨年5月に会長を辞した清木紀雄さん(75)=安佐南区=は「国の線引きはあまりに理不尽だが、大雨が降った事実をいくら訴えても聞いてくれない。無念だが、拡大の見込みはないと判断した」と明かす。発足当初から事務局を務めた曽里サダ子さん(77)=同=も「原爆の悲惨さを訴え続ける意味でも解散したくなかったが、体力が持たない。訴訟を応援するが、参加できない」と話した。(田中美千子)

(2015年11月23日朝刊掲載)

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