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愛宕山跡地 米軍住宅完成でも 艦載機先行移駐認めず

 山口県の二井関成知事は6日の県議会一般質問で、国への売却方針を決めた愛宕山地域開発事業跡地をめぐり、計画されている米軍住宅が完成しても、米軍普天間飛行場(沖縄県)移設の見通しが立たない間は、米海兵隊岩国基地への艦載機の先行移駐を認めない基本方針を堅持する考えを示した。(金刺大五)

 住宅建設は艦載機移転に伴う対応だが、二井知事は、県の方針に沿わない場合、住宅への軍人や家族の入居を認めない「強硬姿勢」を打ち出した。

 米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国への艦載機移転の目標年は2014年。仮にその時点で住宅が完成しても普天間が解決しない場合の対応を問われ、二井知事は「たとえ岩国基地の再編に関する全ての施設整備などが完了しても、県の基本スタンスを変更する考えはない」と答えた。

 さらに「外交防衛政策は国の専管事項だが、国と地方の信頼関係で成り立っている。再編は地元理解なしに進められない」と強調。基本方針を「担保」するため、国と確認文書を取り交わす検討を進めていることも今定例会で明らかにした。

 県は米軍再編を一体的に捉える「パッケージ論」に基づき、基本方針を設定。強い姿勢の背景には不透明な普天間情勢が続けば、基本方針との整合性が取れないという危機感がある。二井知事は答弁で前沖縄防衛局長の不適切発言などに触れ、「普天間移設をめぐる状況は混迷の度を増している」と指摘した。

 二井知事は議会後に取材に応じ、実際に艦載機移転や入居を止められるか、という質問に「地元理解を得られないと進められないというのが(再編の)基本。確認文書もきちんと取る」と述べた。

 防衛省は跡地75ヘクタールを約169億円で買い取り、米軍の幹部向け低層住宅約270戸や運動施設を建設する計画。県と市は先月、売却する方向で国と調整に入ることで合意している。

(2011年12月7日朝刊掲載)

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