×

ニュース

山口県上関町、原発交付金で整備 海峡温泉 船出にさざ波

 山口県上関町の温浴施設「上関海峡温泉 鳩子の湯」が6日、町民を対象にプレオープンした。中国電力が計画する上関原発に伴う国交付金を財源に町が整備した。福島第1原発事故で今後の交付金確保が見通せない中での出発になる。本オープンは9日。(久保田剛)

 室津小跡地の約6600平方メートルに立つ鉄筋平屋約1520平方メートルの施設。上関海峡を望み、男女を週ごとに入れ替える「石の風呂」と「木の風呂」、露天風呂やサウナ、家族風呂、地元産の魚介類を生かしたレストランもある。泉質はナトリウム塩化物冷鉱泉で赤銅色の湯が特徴。総事業費約9億5300万円のうち、約8億4600万円は原発関連交付金で賄った。

 年間維持費は約7千万円と見込まれ、オープン後は持続的運営が課題になる。指定管理者の一般財団法人「なごみ」(代表理事・柏原重海町長)は町から年1千万円の委託料を受け取るが、残りは年間利用者約7万人を見込む入浴料やテナント収入などで賄う方針。

 同財団の井原久治事務局長は「約40人の新規雇用が見込まれ、地元食材の地産地消など波及効果も大きい」と期待する。

 しかし、原発関係交付金の状況次第では、運営にも不安が残る。原発反対派の岩木基展町議は「完成した以上は安定経営をしてほしい。魅力を高め、赤字穴埋めが町財政の負担とならないように」と注文している。

上関海峡温泉
 上関町を舞台に人気を集めたNHKの連続ドラマにちなみ「鳩子の湯」と愛称を付けた。開館時間は午前10時~午後9時(入浴受け付け午後8時まで)。入浴料は中学生以上600円、小学生以下300円(3歳以下無料)。町内の65歳以上の高齢者と障害者の入浴料は半額となる。

(2011年12月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ