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被爆壊滅 街の痕跡か 原爆資料館 発掘調査 瓦など出土 広島市中区

 広島市は27日、中区の原爆資料館本館の敷地で進めている発掘調査の様子を報道陣に公開した。被爆して壊滅した旧中島地区の遺構とみられる石や、原爆で溶けた可能性が高い瓦が既に出土している。

 対象の約2200平方メートルは民家や商店、寺院が並んでいた旧材木町で、市の委託を受けた市文化財団が20日に東側から調査着手。戦後と被爆当時、それ以前の地層面を探るため幅約1メートル、深さ約1・5メートルにわたって試掘し、掘り進めたところ、長さ1メートル以上の細長い石が出土した。

 田村規充主任学芸員によると、通りを区切る縁石か建物の一部とみられるという。また溶けた瓦やガラス、陶器片なども見つかった。原爆の熱線やその後の火災の影響を受けた物かどうか、今後、文化財団が検証する。

 調査は、資料館の耐震化工事を前に埋蔵物の状況を記録するのが目的で、来年3月末までに終える。田村主任学芸員は「被爆前の街を伝える痕跡を少しでも多く見つけたい」と話している。(水川恭輔)

(2015年11月28日朝刊掲載)

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