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風力発電調査費を可決 上関町補正予算案 18年度稼働目指す 山口

 山口県上関町議会は27日の臨時会で、風力発電機建設計画の調査費を盛り込んだ2015年度一般会計補正予算案を賛成多数で可決した。今回の可決で町議会も計画に同意。凍結状態にある上関原発建設計画の展望が見通せない中、町は売電で自主財源の確保を図る風力発電事業に着手する。2018年度の稼働、19年度の売電開始を目指す。

 町の計画では、同町長島の上盛山(314メートル)西側の尾根に出力2千キロワット級の風力発電機2基を設置する。町は1基当たりの売電収入を年1億円と試算。建設費や維持費を差し引いても、20年間で総額15億円の収益が出るとみる。撤去費を含む総事業費は28億円を見込む。

 町は来年1月にも環境、測量、地質の調査に着手。生態系への影響や地盤の適性を確かめて建設予定地を確定させる。補正予算に調査費2400万円を計上。これとは別に16年度分として5千万円を限度額とする債務負担行為を設定した。

 町議会は定数10で、原発計画の推進派8人と反対派2人で構成。議長を除く採決では推進派の1人以外の8人が賛成し、可決した。

 上関原発は11年3月の福島第1原発事故直後から、準備工事が中断。政府は原発の新増設を「考えていない」(林幹雄経済産業相)とし、凍結状態が長期化している。柏原重海町長は臨時会閉会後、「原子力財源を見込めず、高齢者の多い町の財政は厳しさを増している。この事業で収入を増やしたい」と述べた。(井上龍太郎)

(2015年11月28日朝刊掲載)

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