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ヒロシマの情報発信 800号 原爆資料館ボランティア 原田さんの「マンデーメモ」 外国人の感想 和訳を掲載

 原爆資料館(広島市中区)で来館者を案内するヒロシマ・ピース・ボランティアの原田健一さん(70)=東区=がメールで発行するニュースレター「マンデーメモ」が23日で800号となった。活動で得た情報や教訓を共有し、知識を高める場だ。蓄積された情報を整理し、活動に生かすことも検討している。(金崎由美)

 200人余りのピース・ボランティアの中で、原田さんは英語でのガイドを担当。活動を始めた2000年4月、「同期生」8人の意見交換を目的に発行したのが第1号だった。巻頭言は「作業負荷が大きすぎてうまくいかなかったらギブアップするかもしれません。とにかく、とりあえずやってみます」。一時中断を除き、自身が活動する月曜に毎週配信してきた。読者は今、資料館の関係者らも含め206人に増えた。

 A4判2、3枚に小さな文字がびっしり並ぶ。原田さんやガイド仲間が投稿した文章を載せる。「原爆投下時、広島にいた軍人の数は」「原爆の初期放射線はどこまで届いたか」。来館者からの思わぬ質問や、投稿者の疑問を寄せてもらい、原田さんや資料館の職員らが回答する。

 約200人分を載せているのが、資料館を訪れた外国人が感想や思いを書いた手記。原田さんがインターネットでブログなどを見つけて和訳している。「日米間の戦争を見る目が変わった」と米国の大学生。日本で英語を教える米国人は「米国の友人や家族のため原爆について書かれた資料を買いそろえた」。オーストラリアの女性は「歴史教科書の無味乾燥な情報ではなく、事実をありのまま伝える場所」と評する。

 原爆資料館の2014年度の外国人入館者は過去最多の23万人。ここを訪れ、原爆被害についての考えは変化したか。帰国後、周囲にどう話しているか―。情報を得るのは案外難しい。ピース・ボランティア代表幹事の品川正則さん(74)=南区=は、各号に掲載された手記をまとめて読めるよう編集する考えだ。「海外から見たヒロシマについて、皆で認識を深めたい。ガイド活動に生きるはず」

 約4年後、千号の節目となる。原田さんは「特に意識はしていないが、ニーズがある限り交流の場として続けたい」と話している。

(2015年11月30日朝刊掲載)

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