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原爆症認定 病気に応じ4段階支給 被団協が新援護策要求概要

 日本被団協は15日、都内で代表理事会を開き、原爆症認定制度に代わる新たな援護策として国に求める「被爆者手当」(仮称)の概要を固めた。全被爆者へ病気や病状に応じて4段階で支給。対象の病気は政令で定め、申請者ごとの放射線と病気との関連(放射線起因性)の審査はやめる。来年1月に成案を得て、厚生労働省の検討会に提案する。

 被爆者手当は、指定された病気になると支給される健康管理手当や、原爆症認定者の医療特別手当を整理して新設。基本月額は少なくとも約3万4千円、1段階加算で5万円、3段階加算では約13万7千円などとする。

 病気や加算区分は有識者の審議会に委ねる。ただ、国際放射線防護委員会(ICRP)が放射線との関連を認めた病気のほか、ケロイドなど一定の外傷も求めたい考えだ。

 現行の認定基準は、一定の被爆状況でがんなど七つの病気を「積極認定」、それ以外のケースは医師らの審査会で放射線起因性などを個別判断している。科学的に未解明な部分の判断などで被団協と国の見解が大きく異なる上、被団協内には被爆状況による「線引き」に抵抗もあった。また医療特別手当は、がんも白内障も同額なため、加算に段階を付ける方向になった。

 一方、原爆症認定者の医療費を国が全額給付する制度は「検討の余地がある」とした。

 被爆者手当の創設は6月に決めた被爆者援護法改正要求で打ち出した。被団協役員2人が委員を務める厚労省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」で提案、実現を求める。(岡田浩平)

(2011年12月16日朝刊掲載)

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