×

ニュース

芦北開拓団 亡父の手記 松山の松浦さん発見

旧満州 飢えや悲劇鮮明  芦北開拓団として旧芦品郡阿字村(現府中市)から旧満州(中国東北部)に家族で渡った松浦茂さん(74)=松山市=が、父の明さんがつづった手記を遺品の中から見つけた。県立文書館(広島市中区)は「芦北開拓団の記録は少なく、貴重な史料だ」としている。

 県史などによると、芦北開拓団は1944年から、旧芦品郡の大正、阿字、阿佐の3村の計404人が移住した。松浦さん一家6人も旧満州を目指した。

 明さんは手記に、仲間内での食料や物資の奪い合いや、現地で生まれた四女を栄養失調で失った経験などを書き残している。当時7歳だった茂さんは「工場のような場所に団員で住み、寒さと飢えに耐えた」と振り返る。

 一家は46年に帰国後、松山市で暮らした。明さんは96年に86歳で亡くなり、茂さんが自宅で遺品を整理していたとき、手記を見つけた。

 県民の海外移住史に詳しい県立文書館の安藤福平主任は「個人の経験は、歴史の真相を伝える」と評価する。「忘れ去られてしまう歴史を後世に残したい」と茂さん。手記の寄贈先を探している。(迫佳恵)

(2011年12月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ