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児童書画 焦土で育んだ絆 本川小 被爆後の復興支えた米国人に贈る 12日から初公開

 広島市中区の本川小の児童が被爆後の学校の復興を支えた米国人に贈った書画77点が、12日に市中央図書館(中区)で始まる企画展で初公開される。焦土で紡いだ日米の草の根交流の一端を伝える。来年1月24日まで。(田中美千子)

 絵は46点。相撲を取って遊ぶ様子、学校から見える原爆ドームなどをクレヨンや水彩絵の具でさまざまに描いている。「平和日本の春」などと丁寧につづった書29点のほか、作文2点がある。

 いずれも、連合国軍総司令部(GHQ)民間情報教育局元職員ハワード・ベル氏(1897~1960年)が同小から受け取った書画集2冊にとじてある。1冊は児童の名前や学年から48年作とみられ、もう1冊は表紙に「昭和二十七年五月五日」とあり、52年に作られたことを示している。

 ベル氏は47年に同小を視察し、自ら持ち込んだ文房具を贈った。米国内に支援を呼び掛け、呼応した教会などからも同小へ文房具が届いたという。書画集は返礼品で、ベル氏の死後は、ハワイに住んでいた遺族がホノルル市のハワイ日本文化センターに寄贈。昨夏、広島市公文書館の中川利国館長が確認し、展示を打診していた。

 企画展では、米国内から寄せられ、ベル氏が49年5月に市へ届けた児童書1500冊のうち、市こども図書館(中区)が「ベル・コレクション」として所蔵する一部を紹介。こども図書館の建設経緯など市の児童文化の歩みを振り返るパネルも置く。

 中川館長は「焼け跡の子どもたちに夢を持ってもらおうと、文化環境の整備に尽くしたベル氏たちの功績を知ってほしい」と話している。無料。市中央図書館は月曜休館。

(2015年12月9日朝刊掲載)

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