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原発防災訓練 島根・鳥取県 合同で実施

 島根県は20日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)での事故を想定した原子力防災訓練について、原発から30キロ圏内の6市を対象に鳥取県と本年度内に実施する方針を明らかにした。両県と6市の担当者による初動対応や放射線量測定作業の確認がメーンで、住民参加の避難訓練は見送る。(樋口浩二)

 政府の原子力安全委員会が、原発30キロ圏を防災対策の重点地域とする方針を決めたことを重視した。原発をめぐり、隣県が参加する広域的な合同訓練は全国でも例がないという。

 訓練では、両県と6市の担当者が松江市の島根県庁に集合。島根原発の原子炉に異常が発生し、冷却機能が喪失したと想定し、事故と被害の状況について、電話やファクスで連絡を取り合う。

 放射線量の測定エリアも、原発がある松江市から6市に拡大する。正確で迅速な情報共有の手法をチェックし、住民避難などの対応につなげる。

 この日、両県と6市、両県警、中国電力など33機関の代表者による会合が松江市であり、訓練の実施を申し合わせた。

 しかし、出席者からは「住民の避難を想定した訓練も必要ではないか」「住民への情報伝達は重要で、明確な基準を設けるべきだ」などの意見が出た。

 島根県総務部の細田晃参事は「30キロ圏での実施は初の試みで周辺市には不明な点も多いはず。まずは自治体レベルの対応を確認し、課題を洗い出したい」と説明している。

原子力防災訓練
 原発の事故を想定し、各関係機関の情報連絡や、地域ごとの避難計画を住民参加で確認する。島根原発では1982年に初めて開催。これまでは、従来の防災対策重点地域(8~10キロ圏)の松江市を対象エリアに、県が市や中電などと実施。2010年度は1月19日に実施し、75機関から約6700人が参加した。

(2011年12月21日朝刊掲載)

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