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最大揺れ想定引き上げ 島根原発 中電検討 追加工事の可能性

 中国電力が島根原発(松江市)の耐震設計の目安として想定する地震の最大の揺れの強さ「基準地震動」を引き上げる検討に入ったことが10日、分かった。仮に原発近くの活断層、宍道断層の実際の長さが従来の評価より3キロ長い25キロ程度でも、耐震性を確保する狙い。中電は2号機の再稼働を原子力規制委員会に申請しており、基準地震動を上げれば、追加の耐震工事が必要になる可能性が高い。

 中電は現在、宍道断層の長さを22キロと評価し、基準地震動は600ガル(ガルは加速度の単位)と想定。今月上旬までの規制委との打ち合わせを踏まえ、年明けにも2号機の再稼働の審査会合で新たな数値を示す考えだ。

 宍道断層の長さについては、中電が主張する22キロは根拠が不十分と規制委が指摘。中電は断層の西端で追加の地質調査をし、変更の必要はないと報告した。

 だが、規制委は2号機の耐震設計には余裕を持たせるよう求める方針。そのため、中電は宍道断層の長さが従来より西に3キロ延びて25キロ程度だったとしても計算上、起こり得る最大の地震に耐えられる水準の原発設備にする構えだ。断層の長さの評価は変えない。

 島根原発は既に耐震性を高める工事を進めている。基準地震動を上げれば、追加工事が求められ、現在の安全対策費約4千億円がさらに膨らむ可能性がある。

 基準地震動をめぐっては、九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)や四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)が規制委の指摘で数値を引き上げ、審査に適合した。他社の審査を踏まえ、中電も2号機の再稼働の手続きを進めるには数値の引き上げが必要との見方を強めている。(河野揚)

(2015年12月11日朝刊掲載)

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