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上関原発 住民「安全神話崩れた」 工事妨害損賠訴訟 抗議の正当性主張

 山口県上関町で原発建設工事を妨害されたとして、中国電力が同町祝島の住民など計4人に総額約4800万円の損害賠償を求めた訴訟の第6回口頭弁論が20日、山口地裁であった。

 弁論は昨年11月11日以来約1年1カ月ぶりの再開。住民側は福島原発事故を受け「日本の原発の安全神話は完全に崩れた。住民らの行為は生活基盤を守るため」と、抗議行動の正当性を主張した。

 訴えによると、4人は2009年11月5~11日、海面埋め立て予定地と近海で中電側業者の作業船に乗り込み、アンカーを設置するワイヤにつかまるなどした。中電は作業中止を余儀なくされ、作業船手配料などの損害を受けたとしている。

 住民側はこの日、準備書面を提出。離島である祝島の住民は原発事故の際に避難できず、豊かな漁場も失うなどと強調。中電の提訴を「企業による報復的な訴訟」と批判した。

 中電は同年12月15日、山口地裁岩国支部に提訴。工事内容などを確認する進行協議や裁判日程の確保へ地裁本庁に審理の場を移す手続きのため、口頭弁論は開かれていなかった。(久保田剛)

(2011年12月21日朝刊掲載)

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