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伊方原発再稼働中止を 広島の被爆者提訴へ 「事故 県境越え被害」

 広島市内の複数の被爆者たちが四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の再稼働の差し止めを求めて広島地裁に提訴する方針を固めたことが14日、分かった。原発事故が起こった際、広島にまで核被害が広がるなどと主張する。年明けに準備を本格化させ、態勢が整い次第、提訴する。(浜村満大)

 原告は被爆者に加え、伊方原発の再稼働に反対する同市内のグループ「広島市民の生存権を守るために伊方原発再稼働に反対する1万人委員会」のメンバーたちで構成する予定。

 関係者によると、被害が広範囲に及んだ東京電力福島第1原発事故などを踏まえ、事故が起きれば近県の広島県なども甚大な被害を受ける▽原発事故による核被害を防止▽事故が起きない場合でも放射性物質を発生させて住民の健康に影響を及ぼす―などと主張する見通し。

 伊方原発は佐田岬半島の付け根にあり、広島市の南西約100キロにある。10月に愛媛県の中村時広知事が再稼働に同意し、来春以降の再稼働が見込まれている。松山地裁では、住民たちが運転差し止めを求めて起こした訴訟が係争中だ。

 広島市などの主婦や会社員たちでつくる同委員会が11月下旬、提訴の方針を決定。被爆者たちに声を掛けて原告団をつくり、再稼働に反対する住民たちで支援組織を立ち上げる方針。

 原告団長に就く予定で、4歳の時に広島市西区の己斐小近くで被爆した堀江壮さん(75)=佐伯区=は「私たちが受けた核の苦しみを次世代に受けさせたくない。広島から核の被害を食い止める動きを広めたい」と話している。

(2015年12月15日朝刊掲載)

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