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レンズはとらえた戦後70年 岩国錦帯橋空港の開港2012年12月13日 軍民共用 希望と危うさ

 東京とのアクセス面で、半世紀近く空港空白地帯だった山口県東部地区。2012年12月13日、長年待ちわびた空港が岩国市に開港した。米海兵隊岩国基地の滑走路(延長2440メートル)を使う国内2カ所目の軍民共用空港。民間機の就航は実に48年ぶりだった。

 この日、全日本空輸のボーイング737―800が、ほぼ満員の乗客を積んで午前7時半すぎに岩国錦帯橋空港を飛び立った。1日4往復の東京便がスタートし、羽田空港と約1時間半で結ばれた。岩国、羽田両空港で記念セレモニーがあり、就航を祝った。

 滑走路は、騒音被害の軽減を目的に、旧滑走路から1キロ東の沖合を埋め立てて完成した。着工から13年、国は2500億円を投じた。管制業務は米軍が担い、国土交通省は「日本は米軍の許可を得て使用させてもらう立場」と位置付ける。

 開港に先立つ7月には、岩国基地に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが陸揚げされ、激しい反対運動が起きた。過去には、夜間離着陸訓練(NLP)の実施で騒音が大きな問題に。共用である以上、基地機能の強化が民間空港の使用上の制約につながる可能性を、常にはらんでいる。(村上昭徳)

(2015年12月16日セレクト掲載)

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