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12年度予算案決定 艦載機移転 着実進行へ意向にじむ 岩国基地

 政府は2012年度予算案で、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転の予算を手厚く盛り込んだ。在沖縄海兵隊のグアム移転や米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設が進まない中、防衛省にとって岩国は「虎の子」的な存在。14年の完了に向け、着実に進めたい政府の意向が強くにじむ。(金刺大五)

 11年度を上回る予算額が並んだ岩国関連事業について、財務省の担当者は「グアム、普天間は遅れているが、岩国は順調。14年に向け(予算措置も)最終段階に来ている」と説明した。

 日米両政府が合意した米軍再編は本来、沖縄がメーンだが、普天間の県内移設は地元の反発で難航する。一方で、岩国の艦載機移転には反対の声も根強いものの、二井関成知事と福田良彦市長は安全対策や地域振興策を求める「現実的対応」を取ってきた。防衛省は06年度から累計で2千億円(12年度分を含む)を投じ、施設整備を進める。

 県の公社が所有する愛宕山地域開発事業跡地も、11年度内に購入できる見通し。米軍住宅や運動施設として本格的な設計に入り、13年度にも建設工事が本格化しそうだ。

 一方で、防衛省は基地の周辺対策も拡充。民家の防音工事の予算も11年度の4.5倍の18億円を付け、対象400世帯を見込む。県が跡地事業の赤字解消策として要望している道路や災害対応ヘリポートの補助にも応じる構えだ。

 「防衛政策には協力しないといけない。その分、住民の負担軽減と地域振興策をしっかりするべきだ」と、地元の県議は強調する。

 二井知事と福田市長は週明けにも上京し、愛宕山跡地売却について一川保夫防衛相と会談する。普天間移設が進まない中で岩国への艦載機移転だけを先行させないように求めており、確認文書を交わしたい考えだ。

 「知事の意向は十分理解している。意向に沿い対応したい」。予算案の閣議決定後、記者団の質疑に応じた一川防衛相は、合意獲得に自信をみせた。

(2011年12月25日朝刊掲載)

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