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広島知事・広島市長対談 観光・核廃絶で連携

 広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長が新年に当たり、広島市中区の中国新聞ビルで対談した。2人は広島の中枢性向上に向けた観光振興や核兵器廃絶に向けた取り組みでさらなる連携を確認。「二重行政」の解消に向けた協議を本格化させることで一致した。

 観光振興をめぐり湯崎知事は、県の「瀬戸内・海の道構想」を本格始動させる意気込みを表明。2012年度、観光客をもてなす機運を高める事業を展開すると明らかにした。

 松井市長は市がモデル地域として参加することを快諾。市内を流れる川の魅力を引き出す「水の都ひろしま」構想と海の道構想の連携強化を提案した。

 平和への取り組みで、松井市長は被爆70年の15年にある核拡散防止条約(NPT)再検討会議の誘致について「核兵器廃絶には核兵器をコントロールできる為政者に広島で議論してもらうことが効果的」とあらためて意欲を示した。湯崎知事も支援を約束した。

 道府県と政令指定都市が重複した業務をする二重行政の解消に向け、2人は「住民の視点」を力説。県、市で設置する研究会で課題を洗い出し、財源の効率的な活用につなげるとした。(城戸収)


平和への取り組み

被爆者の思いを伝える 松井氏
核廃絶支援や人材育成 湯崎氏

 ―県は昨年、「国際平和拠点ひろしま構想」を策定しました。今年力を入れるのは。
 湯崎氏 世界における広島の位置付けは私たちの想像以上に大きい。その力を具体的な平和貢献にもっと使いたい。核兵器廃絶に向けた支援や平和構築のための人材育成、研究の集積。できることから進め、10年かけてつくっていく。

 ―2人とも米大統領の広島訪問の際に謝罪は必要ない、という趣旨の発言をしました。最終的にも謝罪は必要ないのでしょうか。
 湯崎氏 フォワード・ルッキング(先を見る)の考えが必要だと思う。広島訪問が核兵器廃絶の強力な一歩になるなら、そこに焦点を当てるべきだ。将来に役立つことをするのが大事だ。

 松井氏 私は必要か必要でないかにこだわらない。平和問題についての県と市の役割はあんパンに例えられる。市はあんこで「核兵器がなくなってほしい」という被爆者の思いを持ち続け、伝え続ける努力をする。

 それを(パンのように)取り囲んだ県に受け止めてもらい、核兵器廃絶を実現するプロセスを研究してもらう。連携と役割分担をしっかりしたい。

 ―15年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の市への誘致は実現しますか。
 松井氏 もともとハードルが高い話。核兵器廃絶には、核兵器をコントロールできる各国の為政者が広島で平和の願いを感じながら議論してもらうのが一番効果的だ。だが、これまでスイス・ジュネーブと米ニューヨークでしかやったことがないという難しい要素もある。外務省にも協力を求め、可能な限りこの思いを(かなえたい)、と言っている。

 湯崎氏 (11年11月に)国連の潘基文(バンキムン)事務総長と面会した時も広島市への誘致をお願いした。本当に実現できたらと思っている。

(2011年1月1日朝刊掲載)

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