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「原発減らす」4割強 中国地方216社本紙アンケート 「維持」と拮抗

 中国地方の主要企業216社に中国新聞が聞いたエネルギーに関するアンケートで、今後の原発の在り方について「順次減らす」と「数を維持する」がともに4割強を占めた。原発の安全性に心配が広がる一方、電力の安定に必要とする考えも根強い。総じて自然エネルギーの活用には前向きだが、急激な脱原発には慎重な姿勢が表れた。

 福島第1原発の事故を受けた原発の在り方は「順次廃炉にして減らす」が44.0%、「数を維持し廃炉の場合だけ新設」が43.1%でほぼ並んだ。「数を増やす」は5.1%。「即時撤廃」は0.5%にとどまった。

 「維持」や「増やす」の理由(複数回答)は「安定的な電力が必要」が97.1%で最多。「二酸化炭素の排出抑制」も38.5%に上った。「電気料金の値上げを懸念」は30.8%だった。

 「減らす」や「即時撤廃」の理由(同)は「原発の安全性を懸念」が81.3%でトップ。「新エネルギー分野の事業創出につながる」が59.4%、「原発は世論の理解を得られない」が32.3%で続いた。「原発はコストが高い」とする企業も21.9%あった。

 太陽光やバイオマス発電など再生可能エネルギーに関わろうとする企業(同)は延べ37社。別に「(電力会社による)買い取り価格次第で参入を検討」も10社あった。

 自由意見では、広島県西部の化学メーカーは「明確な代替エネルギーがない限り原発は必要」。一方、県西部の小売業は「原発を全廃し、環境技術で世界のリーダーを目指すべきだ」とした。岡山県内の機械メーカーは「再生可能エネルギーと原発のバランスが重要」と指摘した。

 国や制度への注文も目立ち、広島県西部の金融機関は「電力会社以外の参入を進める規制緩和を」と求めた。

 調査は2011年11月下旬~12月中旬、中国地方の245社にアンケートし、216社(88.2%)が答えた。(漆原毅)

(2012年1月3日朝刊掲載)

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