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廃炉前の8割を交付 松江市などに激変緩和策 10年で段階的にゼロ

 政府は2016年度、原発の廃炉で電源立地地域対策交付金がなくなる地元自治体に、別の交付金を活用して初年度は廃炉前の8割を交付し、10年間で段階的にゼロにする激変緩和策を導入する。自治体の財政への影響を和らげるためで、中国電力が廃炉を決めた島根原発1号機を抱える島根県と松江市も対象になる。

 経済産業省によると、原発が再稼働した際の立地自治体への支援策として設けた「原子力発電施設等立地地域基盤整備交付金」を活用する。原発の運転期間を原則40年とする新規制基準に沿って廃炉となった島根原発1号機、関西電力美浜原発1、2号機(福井県)など計5基で30億円程度が交付される。

 廃炉になると稼働実績などに応じた電源立地地域対策交付金が打ち切られるため、松江市などが代替策を求めていた。

 既存の電源立地地域対策交付金の総額は約869億円。うち停止中の原発がある自治体にも稼働率を一律81%と見なして交付していた仕組みを改め、道県分は福島第1原発事故前の平均68%を上限に引き下げる。市町村分は16年度は78%とし、5年間で68%まで引き下げる。

 島根県と松江市への両交付金の総額は、火力と水力分も合わせて計34億9千万円となり、前年度より2億円減る。上関原発(山口県上関町)の建設計画に伴う山口県と上関町への交付金は15年度と同じ計8千万円。(川井直哉)

(2015年12月25日朝刊掲載)

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