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平和祈念像を修復へ 広島市 ラッパの先端折れる 円鍔さん作

 広島市は平和記念公園(中区)にある尾道市御調町出身で文化勲章を受章した彫刻家、円鍔勝三さん(1905~2003年)の「平和祈念像」の修復を決めた。3年以上前に、子どもが吹くラッパの先端が折れているのを確認。修復を試みたが、よい方法が見つからず放置されていた。来春、ようやく本来の姿に戻る。

 円鍔さんが自ら寄贈したブロンズ製で、像本体は1・4メートル。母親に抱かれてラッパを吹く子どもと三日月がデザインされている。高さ1・8メートルの台座は、募金や広島商工会議所などの協力で造られ、原爆慰霊碑近くで77年8月に除幕した。

 市緑政課によると、12年4月、ラッパの先端から管(直径5ミリ)にかけての約8センチが折れているのが分かった。経年劣化が原因とみられる。接着剤や銅版で継ぐなどの修復を試みたが再び折れ、13年4月以降は、先端部分を同課で保管していたという。

 先月に外部から指摘を受けた同課が、補修方法を再検討。円鍔さんの遺族から富山県の専門業者を紹介され、発注したという。来年2月末に4日ほどかけて作業。折れた部分を溶接し、全体も塗り直す。事業費は約70万円。同課は「復旧が遅れて申し訳ない。きれいになった姿を見てほしい」としている。(田中美千子)

(2015年12月26日朝刊掲載)

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