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連載・特集

回顧2015 再生可能エネルギー 島根県東西にバイオマス拠点

 江津、松江市でことし、木質バイオマス発電所が完成した。島根県は9月、再生可能エネルギーの年間発電量を2014年度末現在で全体の21・2%から、19年度末時点で30・4%に引き上げる計画を策定した。

中電などに売電

 江津市では、名古屋市の電気設備設計・施工会社の子会社、合同会社しまね森林発電(江津市)のバイオマス発電所が、江津工業団地(同市松川町)で稼働した。出力約1万2700キロワットで、中国電力などへの売電で年間売上高24億円を目指す。

 松江市大井町の発電所は、大阪市の文具製造会社の子会社、松江バイオマス発電(松江市)が建設。こちらは出力6250キロワットで一般家庭約1万2千世帯分に相当。中電に全量売電し、年間約13億円の収入を見込む。

 県東部、県西部にそれぞれ、バイオマス発電所ができたことで、他地域への広がりも期待されている。

 県が9月にまとめた再生エネの割合を19年度末に30・4%まで引き上げる計画では、大規模発電所の建設が相次ぐ太陽光は13万3千キロワット(14年度末)をほぼ2倍の25万3千キロワット(19年度末)に設定した。14年度ゼロだった木質バイオマスは約1万9千キロワットを見込む。県議会は2月、計画策定を義務付ける再生エネの利用促進条例を制定。県の動きを促していた。

 一方、経済産業省は今月15日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)からの買い取り価格への入札制導入を含む、固定価格買い取り制度の見直し案を示した。

太陽光 鈍る懸念

 国の案では、事業用太陽光について発電コストが低い業者を優先して買い取り、価格は低コストの業者を基準に毎年決めるとしている。メガソーラーからの買い取り価格決定には入札制を導入し、価格引き下げを促す。

 12年7月の同制度開始以降、他の発電方法に比べて買い取り価格の高い太陽光発電が急増したことへの対応。電気料金に上乗せされる、電力会社の買い取り費用の高騰を抑える狙いがある。

 県地域政策課は見直し案について「メガソーラーへの参入が鈍る恐れがある」と懸念する。再生エネ普及のけん引役だったメガソーラーが伸び悩めば、県の再生エネ計画にも影響する可能性がある。

 経産省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出し、新制度は早ければ17年度にも導入される見通し。(松本輝)

(2015年12月26日朝刊掲載)

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