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米新型核実験 「核なき世界」どこへ 被爆地 オバマ氏に失望

 米国がまたも新型の核実験を実施したことが明らかになったのを受け6日、被爆地の広島や長崎では「核兵器廃絶の願いに背く」などと被爆者たちから怒りの声が上がり、オバマ大統領への失望が広がった。

 広島県被団協の坪井直理事長は「オバマ大統領のノーベル平和賞は『核兵器なき世界』の実行を期待されたからではなかったか。核兵器を持ち続けようとする全ての実験にノーだ」と憤った。

 県被団協は連合広島や広島県原水禁などと10日、広島市中区の平和記念公園にある原爆慰霊碑前で抗議の座り込みをする。

 もうひとつの広島県被団協(金子一士理事長)と広島県原水協の40人は、中区の繁華街で「新型核実験に断固抗議する!」と書いた横断幕を掲げた。

 金子理事長は「決して許されない。米国の核実験を今回も批判しない日本政府も問いたださなければならない」と批判した。日本原水協は抗議文を東京の米大使館に送った。

 平和記念公園でも落胆の声が聞かれた。観光客を案内する市観光ボランティアガイド協会の加藤昭信さん(67)=安佐北区=は「オバマ大統領への期待を裏切られた。市民を何十年も苦しめる非人道的な核兵器は許せない」と話した。

 広島市の松井一実市長は「被爆者をはじめ核兵器廃絶を求める多くの人々の願いに背く。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議する」との声明文を出し、オバマ大統領宛てに送った。長崎市の田上富久市長も「核兵器開発につながる恐れがある核実験を中止し、核軍縮に主導的役割を果たすよう求める」と抗議した。(金崎由美、田中美千子)

(2012年1月7日朝刊掲載)

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