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連載・特集

中国3県の2015行政回顧

山口県

人口140万人割る

 県の人口移動統計調査に基づく毎月1日現在の推計人口が、4月に140万人を割り込んだ。1965年の調査開始以降で初めて。国の調査を含めても、終戦翌年の46年以来69年ぶりだった。人口減少は深刻だ。

 村岡嗣政知事は就任2年目を迎えた。人口減少の克服へ3月、2017年度まで4年間の県政運営の指針となる総合計画を作成。15年度当初予算では「結婚から子育て支援」など六つの日本一の実現を掲げた。

 10月には、地方創生の地方版総合戦略と人口ビジョンを決定。転出者が転入者を上回る社会減を25年に解消し、40年に合計特殊出生率2・07を目指す。人口減少の流れを止めるために達成が不可欠なのは理解できるが、現実的な数字なのか疑問は拭えない。

 4月の県議選で、自民党は過半数を維持。公明党などを含め、県議会の「知事与党」は圧倒的多数を占める。村岡知事が思い描く政策を進める環境は整っており、任期折り返しの16年は成果と結果が求められる。

 中国電力上関原発建設計画(上関町)では、予定地の海を埋め立てる免許の延長で、可否判断を再び先送りした。政府が原発新増設の方向性を示さない中、審査をさらに長期化させた。

 在日米軍再編をめぐって政府が都道府県向けに創設した新交付金は15年度、県だけに支給された。米海兵隊岩国基地(岩国市)へ17年ごろまでに予定される米空母艦載機の移転へ地ならしが進んだ。(村田拓也)

島根県

人口減対策訴え溝口知事が3選

 人口減対策を繰り返し訴えた溝口善兵衛知事が、4月の知事選で3選を果たした。だが、県人口はことし10月1日現在で実施した2015年国勢調査の結果速報値で初めて70万人を割り込んだ。全19市町村のうち、石見地域9市町は前回(10年)比で計6・1%減少し、県全体の3・2%減を大きく上回った。

 人口減が関係する問題の一つに、参院の「1票の格差」是正に向けた選挙制度改革がある。人口の少ない島根、鳥取選挙区を「合区」にする改正公選法が7月に成立。「地方の声が届かなくなる」と懸念する声が県内から相次いだ。

 三次市と江津市を結ぶJR三江線(108・1キロ)では10月、乗客減などを理由に、JR西日本が全線廃止の検討を沿線自治体などに申し入れた。広島県側の自治体と、どう連携するかが問われている。

 中国電力島根原子力発電所(松江市)は4月、1号機が41年間の営業運転を終え、手続き上、廃炉となった。2号機再稼働に向けた国の審査は丸2年が過ぎた。6月には、低レベル放射性廃棄物の処理をめぐる虚偽記録問題が発生し、中電への信頼が揺らいでいる。(川井直哉)

鳥取県

原発防災対策費 中電から6億円

 育児支援や正規雇用の創出など70の公約を掲げ、「地方創生のリード役になる」と訴えた平井伸治知事が4月の知事選で、無所属の新人を破って3選を果たした。11月には、高齢者や障害者が暮らしやすい環境づくりや人材育成を目指し、日本財団(東京)と共同プロジェクトを進める協定を締結。5年間で総額30億円の支援を受ける。

 中国電力島根原子力発電所の防災対策費として、中電から6億円の寄付を受けることが10月、決まった。米子、境港市は広域避難計画策定が必要な30キロ圏にあり、県が負担を求めた。立地自治体以外への電力会社の財政支援は異例。両市にも6千万円ずつ拠出する。

 3月には鳥取空港(鳥取市)が「鳥取砂丘コナン空港」の愛称でリニューアルした。鳥取市では8月、ジャマイカ選手団が陸上の世界選手権の事前キャンプをした。(川崎崇史)

(2015年12月29日朝刊掲載)

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