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広島駅前に平和モニュメント 彫刻家の三木さん寄贈

 JR広島駅南口(広島市南区松原町)の河岸緑地に来年3月、高さ約10メートルのモニュメントが設置される。元東京造形大教授で、彫刻家の三木俊治さん(70)=東京都日野市=の作品。市へ寄贈され、再開発が進む平和都市の「陸の玄関口」の新たなシンボルとなる。(藤村潤平)

 三木さんが1996年に発表した「宙(そら)の根っこ」。稲妻のようなジグザグ状の鉄製構造物の上に、高さ約20センチの人形約250体が並んでいる。長野県上田市の美ケ原高原美術館の野外展示場で初披露され、各地を巡回後、倉庫で保管されていた。

 河岸緑地の整備は、被爆者でインテリアデザイナーの中本博子さん(85)=東京都港区=が約30年前に広島市へ寄付した計2300万円を元手に2013年に着工。中核となるモニュメントに関し、中本さんたち設置を求めるグループと市が協議を続けていた。

 中本さんは昨年4月、三木さんと都内で出会い、作品を紹介された。人形の行列が「あの日、被爆者が並んだ様子を思い起こす」と感じ、市に設置を提案した。市は「人と人が協力し合う共存共栄を象徴し、未来に向けたメッセージにもなる」と了承した。

 三木さんは、これまで「行列」をモチーフにした作品を多く制作しており、中国地方では宇部市のときわ公園や浜田市世界こども美術館に作品がある。三木さんは「行列は人間の営みを表し、恒久の平和を祈念している。ぜひ広島でも作品に親しんでほしい」と話している。

(2015年12月29日セレクト掲載)

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