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一人の生涯から戦争学ぶ 広島市南区 戦死者の遺品など展示

 日中戦争で戦死した男性の生涯を通じ、市民生活と戦争の関わりを紹介する特別展「広島市民と戦争」が、広島市南区の市郷土資料館で開かれている。男性の遺品や写真など約150点を紹介している。

 男性は、1909年に同市内の商家に生まれ、37年に戦地へ。翌38年3月に中国の沂州(現山東省臨沂市)で砲弾の破片に当たって負傷し、亡くなった。遺族がことし、戦争を伝える資料として役立ててほしいと、同館に遺品などを寄贈した。

 特別展では作戦中に多くの部下が死傷し、最後に「午前の戦斗(戦闘)に戦死傷者六名」と記した陣中日記や千人針、破片で腹部に穴が開いた軍服などを展示。学生時代にラグビー選手として活躍し、広島市で最初のラグビークラブをつくるなどした生い立ちも紹介している。

 戦地に向かう兵士を見送る市民の写真などを並べる。村上宣昭主任学芸員は「尊い命が失われる戦争を、二度と繰り返さないという気持ちを刻んでほしい」と話している。1月11日まで。年内は休館しており年始は1月6日から。同館Tel082(253)6771。(藤田智)

(2015年12月31日朝刊掲載)

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