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韓国被爆者へ 日本の書籍 陜川郡の施設入所者 駐広島総領事館 市民から提供募る

 駐広島韓国総領事館(広島市南区)は市民から日本語の書籍を募り、「韓国のヒロシマ」と呼ばれる韓国慶尚南道陜川(ハプチョン)郡の被爆者養護施設「陜川原爆被害者福祉会館」へ送る取り組みを始めた。日本語を読むのを懐かしむ高齢の入所者が多いため。広島市と陜川郡との交流の機運も高める。(水川恭輔)

 ジャンルは問わないが、小説や紀行、歴史関連などが入所者に喜ばれるという。古本も可。総領事館は、提供者から電話で事前に連絡をもらった上で、宅配便や持参などで受け取る。一定数がまとまり次第、順次、会館に送る。

 陜川郡からは、日本の植民地時代に貧困に苦しむ多くの人が同郷者を頼って広島に移り住んだ。国内唯一の被爆者養護施設である会館では102人が暮らし、平均年齢は81歳超。子ども時代を過ごした日本の本は人気で、館内には小説や歴史書など約300冊が並ぶ図書コーナーがある。

 9歳で広島で被爆した金島植(キム・ドシク)さん(80)は「読み終わったのが多くて、新しい本が待ち遠しい」と話す。

 会館を運営する大韓赤十字社が韓国内での日本語の本の入手に苦労。駐広島韓国総領事館に協力を要請した。陜川郡では2016年に原爆被害資料館建設が始まる。郡や被爆者団体は広島市との交流拡大を期待している。総領事館は「国際交流に携わる市民団体などにも協力を呼び掛け、広島市民の陜川への関心を高めたい」としている。総領事館Tel082(568)0503(平日午前9時~午後5時)。

(2016年1月5日朝刊掲載)

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