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中電原発 27日全停止 島根2号機定検入り 今夏電力不足も 

 中国電力は27日、定期検査のため、島根原子力発電所(松江市鹿島町)の2号機(出力82万キロワット)の運転を停止する。1号機は停止中、ほぼ完成している3号機は運転開始のめどが立っておらず、中電の全原発が止まる。今冬の電力供給は余裕があるものの、今夏には不足する恐れもある。(山本和明)

3号機運転めど立たず

■再稼働

 2号機の定期検査の法定の期限は今月27日。全国で電力需給が厳しさを増す中、中電は期限いっぱいまで運転する方向で調整している。

 中電は1~3号機とも今後、ストレステスト(耐性評価)を国に報告する。政府が原発の運転期間を原則40年とする方針を打ち出したことで、稼働からことし38年を迎える1号機の早期稼働は難しい。2号機の再稼働と、3号機の運転開始の是非が当面の焦点となる。

 苅田知英社長は「ことしの夏に稼働しないと、需給が非常に逼迫(ひっぱく)する。何とか理解を得て再開させたい」と話し、夏までにいずれかの原発を稼働させたい考え。

 これに対し島根県の溝口善兵衛知事は、安全性の確保や国の原発政策、事故を想定した住民避難計画の策定などを材料に、慎重に判断する姿勢でいる。

 再稼働には住民団体の反発が強い。「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治代表は「電気が足りないから再稼働では、今までと変わらない。再生可能エネルギー普及など国の政策見直しとセットで考えるべきだ」と訴える。

 ほぼ完成した3号機も今後、地元理解などが必要。運転を開始する場合、福島第1原発事故後、全国で初となり議論を呼びそうだ。

■電力需給

 中電は冬の電力については、今月27日以降も「安定供給できる見通し」とする。ただ、より電力消費の大きい夏は、原発の全停止が続いて猛暑になれば、かつてなく需給が逼迫する恐れがある。

 中電は点検不備問題を受け2010年にも、原発が全停止した。同年の夏は、火力発電所の稼働を増やした上、電力会社などが余剰電力を売買する卸売市場から購入ができた。ことしは多くの電力会社の需給が逼迫し、余剰電力の購入が難しい。

(2012年1月17日朝刊掲載)

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