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社説・コラム

『記者縦横』 中高生に主権者の自覚

■ヒロシマ平和メディアセンター・二井理江

 「18歳になったら選挙権を持つんだから、関心を持ってほしい。同世代の考えを知りたい」。中高生のジュニアライターが平和をテーマにつくるページ「ピース・シーズ」の編集会議で出た一言。その対象は安全保障関連法だ。同じ中高生の意見を聞いてみよう、と決まった。

 中1~高2の9人と質問を練った。答えから何を浮き彫りにするか、どんな問いが答えやすいか…。なるほどと思ったのは「当事者意識の有無が分かる質問にしたい」という意見。社会の動きを自分の問題として考えることは、主権者にとって大切なことだ。後方支援に自ら行くかどうか、なども尋ねることにした。

 意見は、メンバーの通う学校や友達、きょうだいたち中1~高3の2800人以上から寄せられた。安保法への賛否は共同通信社の世論調査結果(賛成約34%、反対約53%)に近いものだった。もちろん「分からない」の声もあった。「だから知りたい」「もっと説明を」と答えた人も多くいた。海上自衛隊にいた祖父と安保法についてよく話す、と言う高校生もいた。

 「思っていた以上に、みんな真剣に考えていた」とジュニアライター。中学1、2年生は「まだ学校で習ってないけれど、調べたり聞いたりして少しずつ分かるようになった」と話した。

 大人が思う以上に中高生は主権者として未来を考えていた。きっかけがあれば、より深く考え、語るようになる。機会づくりが大切だと知らされた。

(2016年1月15日朝刊掲載)

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