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連載・特集

現新一騎打ちへ 岩国市長選あす告示

 任期満了に伴う岩国市長選は17日告示、24日投開票される。いずれも無所属で、3選を目指す現職福田良彦氏(45)=自民、公明推薦=と、元市議の新人姫野敦子氏(56)の2人が立候補を予定している。在日米軍再編で米海軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機59機の移転が2017年ごろまでに計画される米海兵隊岩国基地にどう向き合い、まちづくりを進めるかが主な争点となる。

 福田氏は、市政の運営方針の一つに「基地との共存」を掲げ、岩国基地を「有効資源」と捉えて教育や国際交流、財源確保に生かす姿勢を示す。集会では、岩国錦帯橋空港の開港による企業誘致や子育て支援策の充実などを実績としてアピールする。

 姫野氏は、「市のリスクが高まる」として艦載機移転に反対し、市中心部で進む愛宕山地区の米軍住宅建設の撤回を求める。集会などでは、福祉や教育の環境を向上させて人口と税収を増やし、米軍再編交付金に頼らない「自立」した市政運営を訴える。

 岩国基地と愛宕山地区では、国が艦載機移転受け入れのための米軍施設建設を進めている。市は3月20日、旧8市町村の合併から10年の節目を迎える。艦載機移転への対応のほか、人口減少と高齢化が著しい中山間地域の支援策や中心市街地の活力づくりなども課題となる。(野田華奈子)

艦載機移転問う 岩国市長選あす告示 同日程「宜野湾」と連動も

 岩国市長選(17日告示、24日投開票)は、よほどのことがない限り、2017年ごろまでに予定される米海兵隊岩国基地への米艦載機移転の是非を問う最後の市長選となる。沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設が最大の争点となる宜野湾市長選も同じ日程で実施される。二つの市長選は在日米軍再編計画で連動し、結果次第では艦載機移転の行方に影響を与える可能性もある。(野田華奈子)

 「多くの市民の理解と協力をいただき、市民の心はほぼ一つになった」。岩国市長選で3選を目指す現職の福田良彦氏(45)=自民、公明推薦=は13日の総決起大会でこう述べ、2期8年を振り返った。艦載機移転をめぐる「民意」は初当選の8年前、大きく振れた。

 「白紙撤回」を求めた前市長の井原勝介氏(65)は、国が市庁舎建設の補助金を凍結したことで市議会の多数を占める移転容認派と対立し、07年12月に辞職。08年2月の出直し市長選で、容認派の要請で衆院議員を辞して立候補した福田氏に1782票差で敗れた。

 その後、国は補助金を交付。前回12年1月の市長選も福田氏が井原氏を破って再選した。その差は広がり、艦載機移転問題は「事実上決着した」と受け止める市民は少なくない。

 与党が支援する現職に挑むのは、元市議の新人姫野敦子氏(56)。井原氏が代表を務める政治団体「市民政党『草の根』」などが支える。「爆音と厳しい暮らしが残るのでは困る」。15日の街頭演説では艦載機移転に反対を唱え、市民目線の市政運営を強調した。前回、市民団体と候補を立てた共産党は今回の擁立を見送り、姫野氏支援に回る。

 一方、宜野湾市長選は、辺野古移設を進める安倍政権がてこ入れを図る現職佐喜真淳氏(51)と、翁長雄志(おなが・たけし)知事を中心とする反対派が擁立した新人志村恵一郎氏(63)の一騎打ちの構図だ。政権と沖縄県の「代理対決」の様相を呈する。

 岩国市は14年8月、普天間飛行場からKC130空中給油機部隊を受け入れ、宜野湾市から負担軽減への協力を感謝された「縁」がある。岩国市議会の桑原敏幸議長は12日、宜野湾市で会見し、全国の自治体で沖縄の基地負担の分散を考える組織を発足させると発表。佐喜真氏が唱える「普天間の固定化阻止」を後押しする。一方、姫野氏も沖縄で志村氏たちと面会。辺野古移設に反対する沖縄の世論との連携を模索する。

 市、山口県とも「普天間移設の見通しが立たないうちに艦載機移転を切り離して進めることは認められない」とのスタンスを堅持する。「沖縄の負担軽減」の下、岩国だけが米海軍厚木基地(神奈川県)から爆音をまき散らす艦載機の「たらい回し」を受け入れることになりかねないからだ。宜野湾市長選の結果によっては政府と沖縄の対立がさらに深まる可能性もある。交錯する二つの選挙で示される民意が注目される。

2016岩国市長選 現新両陣営 準備大詰め あす告示 あいさつや街頭演説

 岩国市長選(24日投開票)の告示を17日に控え、いずれも無所属での立候補を表明している現職の福田良彦氏(45)=自民、公明推薦=と、元市議で新人の姫野敦子氏(56)は15日、あいさつ回りや街頭演説などに追われた。両陣営の準備が大詰めを迎えた。(野田華奈子)

 3選を目指す福田氏は、公務の合間に企業などへのあいさつ回りをこなした。事務所では、スタッフが告示日の出陣式の予定などを最終確認した。

 13日には市民会館で総決起大会を開催。福田氏はJR岩国駅改修や消防防災センター新築などの拠点整備が進んだ実績を挙げ、「まちづくりはこれからが正念場。どうか託してもらいたい」と支援を訴えた。

 姫野氏は15日午前、市中心部の商店街で街頭演説をした。看護師として医療、福祉現場で働いた経験を強調。2017年ごろまでに迫る米海兵隊岩国基地への空母艦載機59機の移転に反対の姿勢を示し、「リスクの高いまちで生きるのが私たちの選択なのか」と問い掛けた。

 そろいのジャンパーを着た陣営スタッフも、ちらしを配ってアピールした。

(2016年1月16日朝刊掲載)

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