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超高齢化の島 求む!若者 町、協力隊員配置へ 山口県上関の八島

 山口県上関町は、高齢化率が9割を超す住民28人の離島の八島に、4月から地域おこし協力隊員を配置する方針を決めた。求めるのは任期後も島に住み続け、活力づくりとお年寄りのサポートを両立してくれる人材。住民は「若い人が来ればパワーをもらえる」と、名乗りを上げる人が現れることを期待する。(井上龍太郎)

 東京や大阪など都市部の20~39歳を対象に、1人を募集する。最長3年の任期を終えても定住し、起業や就業の意欲のある人を希望している。

 八島は町役場の南約12キロにある県最南端の島。漁業や畜産をなりわいに1960年には669人が暮らした。人口流出が進み、今は63歳の男性以外、全員高齢者。80歳以上が6割を占める。空き家の多くは廃屋となり、かつての牧場への道は雑草と倒木で消えた。最近泳ぎ着いたとみられるイノシシ対策も手つかず。消防団は60、70代で担う。

 「超高齢化の島」は地理的な難題も抱える。海を挟んだ約30キロ先には春以降の再稼働が見込まれる四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)があり、重大事故時は島外避難が想定される。上関町には凍結状態の中国電力上関原発建設計画もある。

 町は隊員に、ヒジキなどの収穫や観光情報の発信を期待。加えて1日3往復の定期船の切符販売、荷物運搬、各戸への声掛けも業務とし、世話役を幅広く務めてもらう考えだ。

 八島区長の大田勝さん(77)はアニメキャラクターや動物の絵を板に描き、島中に設置。集落の盛り上げと、帰省する孫たちのもてなしに心を砕いてきた。「みんなと仲良くし、島を元気にしてくれる若者が来てくれれば」と願う。町は「漁場に恵まれ、起業の機会もある」とPRしている。

(2016年1月18日朝刊掲載)

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