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本通りの象徴に別れ 広島アンデルセン 通常営業終了 全館建て替え 被爆壁は保存

 広島市中区の本通り商店街の被爆建物で半世紀近くパンを中心に販売してきた広島アンデルセンが17日、現建物での通常営業を終えた。2020年度の再オープンを目標に全館を建て替え、被爆した外壁は保存する方針。多くの市民が詰め掛け、本通りの象徴となっていた店舗との別れを惜しんだ。

 この日、広島アンデルセンでは、使うのが最後となった石窯でパン約千個を焼き、来店客に無料で配った。午後8時すぎ、従業員が店舗前の本通りに並び、お辞儀をして閉店すると、集まった市民たちから拍手が起こった。

 訪れた佐伯区のパート森川小百合さん(50)は「他にはない雰囲気で好きだった。新しい建物もできるだけ引き継いでほしい」。南区の研修医浜田亜理沙さん(27)は「いつも同窓会で使っていた。県外の人にも自慢できる場所だった」と外観を携帯電話で撮影した。

 広島アンデルセンの旧館は1925年、三井銀行広島支店として建てられ、帝国銀行広島支店だった時に被爆。67年にアンデルセングループが購入し、店舗にした。当時としては画期的だった自らトングでパンを取るセルフ式を採用し、全国に広めた。78年には棟続きの新館を建設し、カフェやパーティー会場の貸し出しなども営んできた。

 グループの持ち株会社、アンデルセン・パン生活文化研究所(中区)の林春樹社長は「この1週間は予想を超えるお客さまの多さで涙が出そう。市民の思いを踏まえ、被爆した外壁などを極力残せるように専門家と決めたい」と話した。

 21日から2月27日までは現店舗1階の一角でパンの販売を続け、3月1日から中区紙屋町の仮店舗で営業する。(川上裕)

(2016年1月18日朝刊掲載)

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