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社説・コラム

岩国市長選 両候補の横顔

=届け出順

 24日投開票の岩国市長選は、いずれも無所属の現職と新人の対決となった。米海兵隊岩国基地への対応とまちづくり、今回の選挙に懸ける思いなどを2人に聞いた。(野田華奈子)

福田良彦氏(45) 無現

艦載機「国と協議の先」

 3月20日に合併10周年を迎える。「まちづくりの礎は築くことができた。新たな岩国市をつくるため全力投球したい」。初心に立ち返り、初陣の気持ちで3期目を目指す。

 米海兵隊岩国基地と滑走路を共用する岩国錦帯橋空港の開港や愛宕山地区への消防防災センターの整備、JR岩国駅改修などの拠点整備が着々と進む。市総合計画に初めて「基地との共存」という概念を盛り込み、「有効資源」としての活用を打ち出した。

 2017年ごろに予定される米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地への空母艦載機59機の移転は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設の見通しが立たないうちは認められないとのスタンスを堅持する。

 一方で政府の安全保障政策に理解を示す。安心安全対策と地域振興策の実現を求めており、移転容認の是非について「最終的な判断は国との協議の先にある」とする。基地関係の交付金、補助金は貴重な財源と捉え、「防衛省との折衝で有利な財源を得て施策に活用するのはまっとうなやり方」と主張。「依存」との批判を否定する。

 自他共に認める「ポジティブ」人間。1年前からジム通いを始め、体を絞った。「心と体を健康に保つことで難題にもぶつかっていける」と手応えを感じている。自らの「変化」を基に市民総参加の健康づくりを促し、社会保障費の抑制にもつなげたい考えだ。

ふくだ・よしひこ
 岩国市通津出身。1999年、旧岩国市議に初当選。県議、衆院議員を経て、2008年2月の岩国市長選で初当選した。趣味はジム通い、けん玉、プラモデル作り。家族は妻と2女1男。

姫野敦子氏(56) 無新

基地マネー依存脱却を

 「基地機能が強化され、市のリスクは高まる。安心して子育てできるまちになれるのか」。旧岩国市時代から15年半、市議として見つめた市政。2017年ごろまでに米空母艦載機移転が迫るまちの将来に危機感を抱き、立候補を決めた。

 艦載機移転と愛宕山地区の米軍住宅建設に反対する立場から「自立か依存か」を選挙戦のテーマに据えた。国からの米軍再編交付金などの基地マネーに依存する市政からの脱却を目指し、「岩国は自立できる」と訴える。

 艦載機移転の「白紙撤回」を唱えた前市長の井原勝介氏(65)が代表を務める政治団体や、移転に反対する市民団体の支援を受ける。米軍普天間飛行場の沖縄県名護市辺野古移設問題で揺れる沖縄県を訪れ、移設反対派との連携に取り組む。

 14年10月の市議選で落選。その1年後の市長選挑戦という大きな決断に迷いがなかったわけではない。相談した診療放射線技師の夫に「挑戦する意義がある」と背中を押され、心が定まった。看護師の経験も踏まえ、地元で医療系の仕事を目指す人を対象にした無償奨学金制度の創設などを訴える。

 飢えと貧困に苦しむ人々に寄り添い、その救済に身をささげたノーベル平和賞受賞者のマザー・テレサを尊敬する。「一人一人の痛みをもっと理解できる行政に」。当選すれば、市民目線を何よりも大切にする市政運営を誓う。

ひめの・あつこ
 岩国市二鹿出身。病院勤務などを経て1999年、旧岩国市議に初当選し2期、合併後の岩国市で在任特例を含めて3期務めた。趣味はコーラス、絵手紙、民謡。特技は手話。夫と3人の息子。

(2016年1月19日朝刊掲載)

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