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2016岩国市長選 論戦から 基地問題 相反する姿勢 福田氏「共存」/姫野氏「自立」

 米海軍厚木基地(神奈川県)から米海兵隊岩国基地への米空母艦載機59機の移転が2017年ごろまでに予定され、基地内外で国による移転受け入れ工事が進む岩国市。24日投開票の市長選の論戦で移転問題はどう語られているのか。現職福田良彦氏(45)は「共存」、新人姫野敦子氏(56)は「自立」という相反する表現で、基地へのスタンスを有権者に示す。(野田華奈子、大村隆)

 「騒音や治安の問題については、しっかり国と協議をしている。その協議の先に最終的な判断がある」。19日、同市岩国で街頭演説した福田氏は、艦載機移転について冒頭に切り出した。

 だが福田氏は、もはや最大の争点ではないとの認識だ。「今回の地域の問題は少子高齢化」と演説を続けた。裏付けるように、告示された17日の第一声でも基地問題には触れなかった。市の総合計画に「基地との共存」を盛り込み、その恩恵で滑走路を共用して開港した岩国錦帯橋空港を生かした企業誘致などを訴える。

 姫野氏は18日、岩国基地の正門前に立ち、マイクを握った。「騒音に悩む暮らしにくい岩国になり、後戻りできなくなる。変えるチャンス」と、極東最大級の軍事拠点になるリスクを訴えた。

 米軍再編交付金への依存から脱却する「自立」を説く。まちづくりに国を利用する事業はいくらでもあり「他の自治体のように汗をかくべきだ」と現市政を批判。愛宕山地区で進む米軍家族住宅建設にも反対する。米軍普天間飛行場移設問題で政府と対立する沖縄を例に、「あらゆる方策を使って」移転阻止を目指すと強調する。

2016岩国市長選 候補者アンケート

 岩国市長選の候補者2人に、中国新聞は米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転への考え方や対応策をアンケートした。いずれも80字以内の記述式で回答を求めた。(届け出順。回答は原則として原文のまま掲載)

質問

問1 岩国市の将来ビジョンを示してください

問2 米空母艦載機移転の賛否と理由は

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福田良彦氏(45)無現

問1

豊かな自然、歴史、文化に包まれて、誰もが「笑顔」で「健やか」に暮らせる活力にあふれた市民協働のまち

問2

市の基本スタンスを堅持し、普天間基地移設の見通しや安心・安全対策、地域振興策についてしっかり議論した上で総合的に判断したい

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姫野敦子氏(56)無新

問1

再編交付金をあてにした市政ではなく市民協働で旧町村部も含む全市で元気の戻る岩国市政に変える。市民が将来も安心して暮らせるようにみんなで議論し自立した岩国を目指す

問2

移転には反対。現状でも爆音被害の違憲判決が出ており、移転で機数が2倍になればさらなる爆音被害や軍関係者の増加による市民生活上のトラブルが起こる可能性も高くなる

(2016年1月21日朝刊掲載)

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