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民主、候補選び進まず 参院選山口 安保法反対有識者ら「野党共闘を」

 夏の参院選で、野党第1党の民主党が中国地方の選挙区で唯一、山口選挙区(改選数1)の立候補予定者を決められずにいる。安全保障関連法の廃止を訴えの柱に据えて社民、共産両党と選挙協力する方針を打ち出し、22日には同法に反対する児童文学作家の那須正幹さん(73)=防府市=たち山口県内の有識者や文化人から統一候補の擁立を求められたものの、衆参両院の県内の議席を自民党が独占する状況下で、具体的な人選は進んでいない。(門戸隆彦)

 那須さんは山口市の民主党県連事務所を訪れ、西嶋裕作代表に「安倍晋三首相は憲法改正まで言い始めた。現政権を危惧している人は多く、みんなでやれば大きなうねりができる」と、統一候補の擁立を求める要望書を手渡した。要望書は山口大教授や医師、弁護士を含む計11人の連名。西嶋代表は「重く受け止め、努力する」と答えた。

 西嶋代表は今月上旬、社民、共産両党県組織の代表と統一候補を擁立する方針を確認。3党には那須さんのほか、井原勝介前岩国市長たちでつくる複数の市民団体も統一候補の擁立を求めている。

 共産党県委員会は昨年7月、新人の松田一志氏(58)が党公認で立候補すると発表したが、佐藤文明委員長は「安保法反対を軸に共闘できる候補が他にいれば、党本部の方針に沿って松田氏の擁立を取り下げる」と言い切る。

 25日には、3党の県組織の代表と、統一候補の擁立を求める市民団体との初の会合も予定される。ただ民主党県連は昨年末、擁立に向けて説得を進めていた県出身の女性に立候補を断られた経緯もあり、見通しは立っていない。ある県連幹部は「山口は『自民党王国』。人選が白紙に戻って以降も大学教授や弁護士に当たっているが厳しい状況」と明かす。

 最大の支持母体である連合山口は「共産党とは考え方が違う」(連合山口幹部)として野党共闘には難色を示し、選挙協力が実現した場合の課題も浮かぶ。

 山口選挙区にはこれまでに、自民党現職の江島潔氏(58)、諸派で幸福実現党新人の河井美和子氏(53)が立候補を表明している。

(2016年1月23日朝刊掲載)

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